第三章:疲労と栄養・食事の関係

栄養ドリンクで疲れがとれるか?

よく疲れを感じていて元気がでない時などに栄養ドリンクや今だったらエナジードリンクなども飲むことが多いかもしれない。確かに飲んだ後は頭がスッキリして元気が出てきたような気がするかもしれない。
しかしそれはカフェインのおかげで自律神経の中の交感神経が刺激されて覚醒状態になり一時的に疲れがとれたような気がするだけである。また微量のアルコールが含まれている場合もあり気分が一時的に高揚する。貴兄が今度そのようなドリンク剤を飲む時に成分表示を観て欲しい。必ずカフェイン○○mgと書いてあるはずだ。
カフェインがいけないというわけではない。自分もコーヒーを飲むのでカフェインを取るし筋トレ前にカフェイン入りのサプリメントを取る場合もある。ただし今はコーヒーに限らずカフェイン入りの飲食物の門限は決めている。
※今はカフェインレスのコーヒーもあるのでどうしても飲みたい人は夜はそれを飲めばいいだろう。
もちろん1日の成人許与量400mg(400mgは致死量ではない)を超えては飲まないようにはしている。
自分が言いたいのはそのようなドリンク剤に多くの効果を期待してはいけないという事だ。カフェインを取るのであればコーヒーの方が高価なドリンク剤より安くてすむ。カフェインが含まれているコーヒーもうまく利用すれば体を健康的にできる食材でもあるのだがそれはまた違う回で語っていきたいと思う。 

「疲れている時には甘いもの」で本当に疲れがとれるか?

疲れているときに甘いものを食べると疲れが取れるような経験があなたにもあるだろう。正確にいうと甘いものを食べると疲れが取れたような気がするだけだ。
そのように疲れている時に甘いものを食べると次から次と甘い物を食べ続けてしまう。そんな経験があなたにもあるだろう。かく言う私も以前はそのような時期があった。普段は甘い物は食べないのだがこのような時には集中して食べてしまう事があった。
今から考えるとあの習慣を続けていたら糖尿病へまっしぐらだったろう。
なぜ甘いものを一度口にすると次から次へと食べたくなってしまうのだろうか?それは
甘いお菓子や炭水化物を食べると、その食品の中の糖類が胃腸で分解されブドウ糖という単糖になって吸収され血管の中を巡るようになると体内の血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上昇する。特に糖の中でも砂糖は分子が小さいためにブドウ糖に分解されやすく、空腹時に砂糖を食べると血糖値が急激に上昇する。
すると体は、血管内の余分なブドウ糖の濃度を下げるようとしてインスリンが一度に大量に分泌されて血糖値が急低下し、「低血糖」状態を引き起こす。そして、体内が「低血糖」状態になると、今度は脳がエネルギー不足で「空腹だ」と勘違いし、「甘いものを食べて血糖値を上げろ」と信号を出してしまう。
このように、甘いものを食べたばかりで、空腹でないにも関わらず繰り返し甘いのが欲しくなるのだ。
また、砂糖を摂取すると脳の中でドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンなどの脳内神経伝達物質が分泌されてこれらは人に幸福感や癒やしを与える麻薬のような性質を持っている。
そのため身体が疲れたときや、ストレスを感じるたびに甘いものを食べて幸福感や癒しを得るようになると、この快感がクセになり、やがては中毒のように「砂糖を取ること=幸せになる」と無意識に脳が感じるようになってしまう。
ラットの実験ではあるが甘味に対する中毒性はコカインよりも勝ることがわかったらしい。
また「砂糖」は甘いお菓子だけではなく、清涼飲料水やパン、スープなどの加工食品、調味料にも含まれていたり、普段甘いお菓子を食べない人でも知らず知らずのうちに砂糖を大量に摂取し、砂糖依存症になる可能性があるのだ。
上記したような甘いものを食べた時に血糖値が急激下がったり急激に上がったりする乱高下を繰り返していく事を血糖値スパイクといいこれを繰り返していくすい臓が正常に機能しなくなり必要以上に血糖をさげてしまう反応性低血糖症という状態になりやたら眠くなる、疲れやすい、やる気が起きない、集中力が続かない、不安、動悸、という症状がでてくると言われている。
ではまったく砂糖や炭水化物をとらないで食生活を送ればいいのかというとそれは日本の食環境においても困難を伴うので血糖値を上げるので緩やかにあげていけばこのような乱高下は起こらない。
血糖値の乱高下を起こさせないような食品を選ぶ時に指標になるものにGI値がある。
GI値とは血糖値の上昇度合いを示す数値で正確にはグリセミックインデックスという。1981年にデヴィッドJ.ジェンキンズ博士らによって食品による血糖値の上がり方の違いを発見し提唱された。
このGI値はどのように測定されているかというと食品を50グラム摂取した際の血糖値上昇の度合いを、ブドウ糖を100とした場合の相対値で表している。血糖値の時間変化をグラフに描き、その曲線が描く面積によってGI値を計算している。
因みに白米はGI値が81だが玄米は55だ。
このGI値の低い物を取ることで血糖値が緩やかに上がっていき長時間空腹を感じなくてすむようになる。
今から貴兄がすぐにできる事は例えば白米を玄米にしてみたらどうだろうか?今はレンジでチンして食べられる玄米のパックも色々な種類が出ている。
因みに自分は炭水化物はサツマイモを好んで食べている。糖質も多いが繊維質も多いのでGI値は55と玄米と同じで腹持ちもいい。
ただしこのGI値は前述したようにその食品を50グラムとった際の血糖値の上昇を見ているのでGI値が低くても大量に食べれば当然血糖値もそれらよりも上昇しやすいので注意しなければならない。
そのため近年ハーバード大学公衆衛生大学院が考案したグリセミックロード(GL値:血糖負荷)というものがある。
これはグリセミック指数に炭水化物の重量をかけた値で、血糖値を上昇させる程度をあらわす指標である。先にあげたGI値では炭水化物の量が反映されていないので新たに開発されたようでこちらのほうがより現実的な血糖値の上昇に近いものと思ええる。
いずれにせよGI値もGI値の値は絶対的なものではなく一つの指標として考えれば、かなり有用なのものだと思う。

腹一杯食べたほうが疲労がとれるか?

食べ過ぎる事で疲れる
子供の頃から3食しっかり食べないと大きくなれないよ!とか朝ごはんをしっかり食べないと動けないよ!などと母親に言われて育ってきた貴兄も多いのではないだろうか?
そして成人して中高年になってもそれを続けている。朝になったら食べる、昼なったから食べる。夜になったから食べるというように時間になったからお腹が空いてもいないのに義務的に食べている人が多くはないだろうか?
もちろん成長発育期の子供にはこまめな栄養摂取は必要だろう。貴兄とは基礎代謝が違うし運動量も違う
しかし中高年になりメタボ腹になった貴兄たちにそんなに1日に3回もの栄養摂取が必要なのだろうか?特にそのメタボ腹を作った糖質と脂質は今ほど取る必要があるのだろうか?
だいたい腹も周りについたダブついた脂肪は備蓄用食料と同じだ。それがあればしばらくは水を飲むだけでも生きられる。
歴史的な事実として、アメリカの飛行機事故で42歳の男性と21歳の大学生が真冬の何も無い荒野に放り出されたあと、40日間水だけで生き残っていたり1910年代にアイルランドのハンストライキで11名が参加して、9名は94日間耐えた事例がある。
残念ながら11名のうち、74日経過後に1名、約88日後に1名が死亡してしまったそうだが…
つまり、一ヶ月程度なら十分耐えることができ、最大で100日前後断食食べずに生きていけるということなのだ。
何も私が貴兄に断食を推奨しているわけではない。ご飯1日抜いたくらいでは普段健康な人間は死なないのである。現代の人間は腹減ったから食べるのではなく時間になったから食べていると食事が義務化してしまってお腹が減ってもいないのに食べる人もいる。
もっと自然に任せて腹が減っていなけれれば食べない、腹が減っていれば食べるというようにすればいいのではないだろうか?
また古来より様々な宗教には断食の習慣がありその宗教の聖職者だけでなく信徒が行う事もある。それぞれの宗教によって断食の期間や意味あいは異なるが有名な所ではイスラム教のラマダーンが有名だろう。
厳密にいえばラマダーンとはイスラム教における断食自体事を指すのではなくイスラム教の暦の第9月のことを指す、西暦における年ではその年毎にラマダーンの時期が異なるようだ。因みに2017年では5月26日金曜日から6月24日までがラマダーンだった。
2018年は5月16日から6月14日までらしい。
この月の太陽が出ている間、つまり日の出から日没までの間、イスラム教徒の義務の一つとして、飲食を絶つことが行われる。つばを飲み込んでもいけないとされている。
この月において、イスラム教徒は日の出前から日没にかけて一切の飲食を断つことにより空腹や自己犠牲を経験し、飢えた人への共感を育むことを重視する。また共に苦しい体験を分かち合うことでイスラム教徒同士の連帯感は強まり、多くの寄付や施しが行われる。
断食中は飲食を断つだけではなく、喧嘩や悪口などの忌避されるべきことや、喫煙や性交渉などの欲も断つことにより、自身を清めて信仰心を強める。
因みにラマダーンを行った後には太る人と痩せる人と2タイプいるようだが推測するにラマダーン中の日没後の食事内容やラマダーン開けの食事内容の違いによるものと思われる。
※妊婦や糖尿病やその他の重要な疾患の方は免除されているらしい。ただし人前で食事を取ることは忌避される。
実は今自分は宗教観からではなく朝食はコーヒーやルイボスティーを飲む程度で固形物は食べないことが多い。
もともと自分は朝食はあまり食べられない方だったのでこのやり方が自分の体にあっていたのかもしれない。
だいたいお腹が空いてもいないのに朝になったから食べる、12時になったから食べる、夜になったから食べるという事はやめた方がいいのではないだろうか?
例えば夜のみ回って最後のシメにラーメンなど食べた翌朝でもいつもと同じ時間に朝食をとる必要性が栄養学的にあるだろうか?
そもそも人間が食物を食べて消化吸収して排泄されるまでには食べ物の種類や個人によって異なるが24〜48時間かかると言われている。
そうであれば夜中に食べたラーメンはまだ腸の中で吸収も終わっていないだろう。
その状態でさらに胃に何かつぎ込むつもりだろうか?
内蔵を休ませる事も必要ではないだろうか?
そもそも栄養を体に取り込むことばかり考えて毒や不要物をだして内蔵や体を休ませること考えが至っていないのではないだろうか?
そして今まで食事の事に関して語ってきたが成長期の子供は別として成人したヒトでは薄っすらと飢えを感じているくらいが心身ともに健康で調子がいいのでないだろうか?
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