歯周病を悪化させる要因1 歯ぎしり

歯ぎしりは歯周病をより悪化させます。
人間は物を食べたり、つばを飲み込んだりする時以外は上下の歯と歯は接触していないのが普通です。上と下の前歯の間でおよそ1~2mmほど間が開いています。
ところが日中あるいは夜間寝ている間上下の歯を無意識に接触させている事があります。
これを一般的には歯ぎしりといいますがこれは本来の意味とは違ういます。
専門用語ではこのような無意識下で歯を接触させる行為をブラキシズムと言います。
そして接触のさせ方でクレンチング、グライディング、タッピングの3種類に分けれます。

歯ぎしり

クレンチングはいわゆる噛みしめで1歯から数歯でその箇所でぐっと咬み込む動作です。
グライディングはいわゆる歯ぎしりで、上下の歯を左右或いは前後方向にすり合わせる動作です。
タッピングはカチカチ上下の歯を噛み合わせる動作です。
原因は局所の噛み合わせという説もあれば情緒的ストレスを発散させために行っているという説あるいその両方という説もありまだはっきりした事は解明されていません。
この行為がなぜよくないかと言いますと普通はものを噛むとき、10数kg/㎝2くらいですが、これらの行為を行う時には70~80kg/㎝2の力が発揮されるからです。
また一日のうち、通常は歯が接触している時間は20分程度ですが、2~162分/日接触していたという報告があります。
通常意識がある時にはこのような強大な力を出したら歯や顎に痛みを感じるのでそれ以上は行いません。
ところがこのブラキシズムは無意識下でおこなわれる為に本人がそんなに力を出している何て気付かないのです。
そのためにこれより歯やかぶせ物がすり減ったり折れたり、歯周病が悪化したり、アゴの筋肉や関節に悪影響がでます。これはそのご本人の耐性が低い所にでます。
ブラキシズムの作用で歯周病に限局した事をお話すると
歯周病では歯を支えている骨が吸収して歯を支える部分が物理的に少なくなるので「歯が揺れる」という症状がでますがブラキシズムでは歯を骨につなぎ止めている歯周靭帯が力によって引き延ばされて「歯が揺れる」という症状がでます。ブラキシズムでは骨は溶けません。つまりゴムが延ばされた状態と同じなのでブラキシズムによる力が除去されれば歯周靭帯は元に戻ります。つまり揺れがなくなります。
ところが歯周病になっている方がブラキシズムを始めると歯を骨につなぎ止めている歯周靭帯が緩み歯と歯にの溝に歯周病菌が入りこみやすくなるためにブラキシズムがない歯周病の方よりも早く歯周病が進み骨の吸収が急速に起こります。
このブラキシズムは無意識下で行われるのでほとんどの場合ご自分では気づきかれません。家族が音で気づいたりまれにご本人が朝アゴがこわばっている自覚や顎や歯に痛みを感じて夜目が覚める事がまれにあるくらいです。
当院でも問診してもご本人に自覚がない事がほとんどですが歯の咬み合わせのすり減り方や歯の横の削れ方をみたり、歯の歯肉のから出方やレントゲンの所見(アゴのエラの部分角度、形状、歯の周りの石灰化程度等)、またアゴや頭、首周りの筋肉の触診(圧痛、筋肉の張り、太さ、形状)する事で本人が気付かれていなくても判定できる場合もあります。
またこのブラキシズムは顎関節症を引き起こす要因の一つでもあります。