第六章:疲れをためないお酒との付き合い方

よく寝るために「寝酒」をする貴兄がおられると思う。そういう私もそうだった。お酒を飲むとその時はお酒に含まれているエタノールにより神経の緊張を緩和するために寝入りはよくなる。摂取量が多くなると、ノンレム睡眠(眼球運動がない睡眠で脳が休んでいる睡眠)の状態が長時間続く。
脳が休んでいる睡眠が長くなるといいような感じがするが実はノンレム睡眠とレム睡眠(眼球運動があり体は休んでいるが脳は覚醒状態にある睡眠)のバランスが重要であるらしい。
中途覚醒や早朝覚醒の原因ともなる。これは、エタノールは、前述したように摂取直後は眠気を起こすが、数時間すると、逆に覚醒させる方向に働くため中途覚醒や早朝覚醒の原因になる。
ビール
お酒の力を借りて寝ることが習慣となりやがて毎晩飲酒するようになると、エタノールに対する耐性がついてく。
すると今までの量では十分な酔いが得られないので飲む量がドンドン増えていく。
連日の飲酒は、身体への負担となり、結果として、アルコール性肝炎をはじめ様々な疾病の原因となるだけでなく 最近あるアイドルバンドのタレントの不祥事でも話題となったアルコール依存症の一因にもなってしまう。
長期間の大量の飲酒に伴う睡眠の質の変化してしまい、断酒によって不眠になる事と、眠る前にお酒を飲むことが儀式的になってしまいそれを行わないために眠れないようになってしまう。など複数の理由が挙げられている。したがって、寝酒としての酒類の摂取量や摂取法には注意が必要である。
不眠症対策として寝酒をしている人は、ストレス解消を目的としている人よりも、アルコール依存症になる確率が高いと言われている。
なお、睡眠薬と寝酒の併用は自殺行為とまで言われている。
また酒は百薬の長などと言われていたが酒飲みにとってはショッキングな研究結果が発表された。
それは英医師会誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」の掲載された論文でアルコールの消費が脳の構造と機能に関してどのような影響をもつかが調査結果だ。
調査では、550人の男女が対象で、一週間のアルコールの摂取量が計り、30年間(1985年〜2015年)に渡る脳の認識機能が継続的に計測されたものだ。
結果はアルコールの消費量が高かった者(度数5%ビール350ml缶で1週間に17本以上の飲酒量)は、脳の海馬の萎縮が高い確率で起こっていた。
海馬とは脳の記憶や空間学習能力に関わる部位であるがこの調査によると海馬の萎縮だけでなく言葉の流暢さにも衰えが早く観測されていたそうだ。
そして驚くべきことは適量の飲酒は長生きの秘訣と思われていたが海馬の萎縮は適量を守って飲酒する人(度数5%ビール350ml缶で1週間に12本程度の飲酒量)の場合でも同様に観測されていた。この適量飲んでいた人でも全く飲まない人と比較すると3倍もの確率で海馬の萎縮が起こっていたそうだ。
認知症の5割はアルツハイマー型認知症と言われておりそのアルツハイマー型認知症では海馬の萎縮が認められるために飲酒がその発症に関連している可能性があるかもしれない。
こうした研究結果を踏まえてイギリスの保健医療省が発表した「新アルコールガイドライン」では男女両方に対して、毎週最高でも度数5%ビール350ml缶で8本以下の飲酒を提言している。
一方さらに詳しく飲酒と認知症の関係について調べてみると飲酒量が増えるほど脳が萎縮する傾向性があることが報告されており、また断酒することで脳萎縮は改善することも報告されている。

飲酒と認知症について

また施設の入所している高齢者を調査した所過去に5年間以上のアルコール乱用または大量飲酒の経験のある高齢男性では、そのような経験のない男性と比べて認知症の危険性が4.6倍、うつ病の危険性が3.7倍と報告されている。
またある調査では1週間に350ml缶ビールの1〜6本程度の飲酒をしていた人が認知症の危険性が最も低いという結果がでていたり、フィンランドの調査では若い頃の飲酒経験と高齢になってからの認知症の有無を調べた結果、低頻度飲酒(月に1回未満)と比べて軽度認知障害の危険性が非飲酒では2.2倍、高頻度飲酒(月に数回以上)では2.6倍高くなることが示された。
またハワイの日系人男性の調査では、中年時代の飲酒量と高齢になってからの認知機能の状態を調べた結果、非飲酒者と大量飲酒者(1日に350mLのビール4本相当を越える飲酒量)では認知機能が最も低下しており、1日にビール1本相当以下の飲酒量では最も認知機能の低下が少なく、これには高齢になって認知機能が低下する危険性を22-40%下げるという結果がでた。
これらの調査結果をまとめると、飲酒は認知症の危険性を高める一方で、少量の飲酒は認知症を予防する可能性が示されているということになるがそれぞれのアルコールの度数や場合によってはお酒の種類も自分の調べたレベルではわからないのでそのお酒の何が影響してこのように結果になっているのか判明していないので一概に少量のアルコールは飲んだほうが認知症予防に良いとは言い切れないのだ。
自分は以前は寝酒をしていたがこの論文発表以前にすでに1年間断酒を行いそれ以降はたまに飲んでいるが飲むと飲みすぎてしまうきらいもあり翌日は心身ともにスッキリせずまた筋トレも行っているためにお酒を飲んでしまうと疲労も抜けづらいために昔のようには飲まなくなっている。せいぜい長期休暇や盆と正月程度にしている。
あまり飲みたいという気持ちもなくなってきた。
それでも飲みたい貴兄は1日せいぜい350ml缶ビールを1本程度に留めていたほうが睡眠のためにも将来的な認知症予防のためにいいだろう。
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第五章:疲れをためない休日の過ごし方 温泉旅行はナゼ疲れるのか
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