第六章 筋トレが体だけではなく心にもいいって知っていた?

★人は皆何かの依存症か?

最近よく思うのは皆何かの依存症ではないかと思えてしまう。仕事柄問診してむし歯、歯周病の誘因を探るために喫煙習慣や間食の取り方等を聞くことがあるのだがタバコをやめられない、間食をやめられないと言った事がある。
なぜこんな事がおこるのだろうか?
それはこれらの物を摂取すると脳の快楽を誘導する「脳内報酬系」が刺激されるからだ。
脳の腹側被蓋野から側坐核および前頭前野などに投射されているA10神経系と呼ばれる神経系が脳の快楽を誘導する「脳内報酬系」の経路として知られています。
この「脳内報酬系」はラットの実験で、この神経系に電極を埋め込んで電気刺激をするとラットは盛んにレバーを押して電気刺激を求めたことから、この神経系が活性化すると快感を感じることが発見された。

主要な役割があるドーパミン!?

A10神経系で主要な役割を果たす神経伝達物質がドーパミンだ。
ドーパミンはアミンの一種で、人間の脳機能を活発化させ、快感を作り出し、意欲的な活動を作り出す。
A10神経系が刺激されると、ドーパミンが放出され、脳内に心地良い感情が生ずると考えられている。
この「脳内報酬系」は、正常な快感だけでなく、麻薬や覚せい剤のような薬物による快感や、そのような物質への依存の形成にも関わることが知られている。
「脳内報酬系」においてドーパミン放出を促進し快感を生じると、それが条件付け刺激になって依存症になる。覚せい剤や麻薬のような依存性をもつ物質は、「脳内報酬系」を活性化させる。
このような依存性のある物質を連用すると、同じ量を摂取しても快感の度合いが次第に小さくなり同じ快感を得るためにさらに摂取量を増やすようになってしまう。
さらに、その物質が入ってこなくなると、ドーパミン神経系が低下し、不安症状やイライラ感などの不快な気分が生じる。これがいわゆる禁断症状といわれるものだ。
ところが実は糖質も薬物依存と同じ作用をすることが動物実験などでわかってきたのだ。

糖質を摂取しないことでイライラが・・・

快感を求めて甘味や糖質の摂取を求め、次第に摂取量が増え、摂取しないとイライラなどの禁断症状が出てくるのだ。
かつては自分もそうだったかもしれないが甘いものを一度食べると次から次へと食べてしまっていた。「甘いものは別腹」とはこんな仕組みがあったからなのだ。
イライラ
実際にラットの実験では恐ろしい事にコカインよりも甘味の方がより脳内報酬系を刺激するという結果が報告されている。つまり、甘味はコカインよりも依存症になりやすいという実験結果が出てしまった。どちらも白い粉状なのは偶然だろうか?
さらに、甘味物質や糖質は脳内麻薬と言われるβーエンドルフィンの産生を増加させることがラットを用いた実験で報告されている。エンドルフィンは「体内で分泌されるモルヒネ」という意味でだ。
自分も糖質が全面的に悪いとは思わないが白砂糖のように精製された糖質はたまに楽しみで取ったり、毎日とるのであればなくせめて米のようなデンプンから取るのが健康にもよいのでないだろうか?
またマラソンなどよく言われるランナーズハイはエンドルフィンという物質が分泌されてきて肉体的には苦しいはずなのだが気分が高揚してくる現象だ。
このように違法な薬物だけではなく普段貴兄が口にしている食べ物や運動でさえ依存性があるという事がわかった思う。

タバコには砂糖が含まれているのをご存じだろうか

蛇足であるが今販売されているタバコには口当たりを良くするために砂糖が含まれている事を貴兄はご存じだろうか?
タバコにはニコチンによる依存と砂糖による依存の可能性があるのだ。そいえば喫煙者に何故か虫歯が多いのはこのタバコに含まれている砂糖のせいではなかろうか?
喫煙者は1日に20本以上吸う人はざらにいる。糖質の頻回な摂取は虫歯を引き起こすのは自明の理だ。
また日本禁煙学会の緊急声明よれば今のタバコには放射性物質のポロニュウムが高濃度に含まれており肺がんの原因の一因ともいわれているらしい。
歯周病的にもタバコのニコチンによる血管収縮作用による被害は深刻なものがある。
貴兄がもし喫煙者であれば自分の体の為にも家族の為にもタバコを今すぐやめてほしいものである。

食べ物に依存している人は太る!!

さて話を元に戻すが比較的健康を害しない物や経済的に破綻を招くような物に依存していなければ日常生活に支障はないだろう。
しかし食べ物に依存している人と運動に依存している人の決定的な違いがある。
それは食べ物に依存している人はカロリーを体に入れている、つまり太るという事だ。かたや運動している人は体からカロリーを出している、つまり痩せていくという事だ。
しかしこのように様々な物や動作に依存性があるのならば仏陀のように悟ってしまった人でない限りは人類は何らかに依存しているのではないだろうか?
そういう自分もある意味筋トレに依存しているのかもしれない。人によっては何であんな重いものを上げ下げしいて面白いのと思われるかもしれない。
しかし気持ちがいいのである。やり終えた後の達成感とかがある。ランナーズハイと同じような物なのだろうか?それを次の項で見ていこう。

★筋トレは麻薬?

筋トレを行うと実は脳では「ドーパミン」「エンドルフィン」「ノルアドレナリン」などののホルモンが分泌されている。いわゆる脳内麻薬だ。これが筋トレをした後の気持ちよさの正体なのだ。
「脳内麻薬」とただ聞くと何か物騒な事だ。と思われかもしれないが人間が何かを運動やスポーツに限らず何かを達成した時に味わえる幸福感を出す物質だ。このために人類や様々な発見や発明や偉業を成し遂げてきたのだ。
まずそれぞれの物質にどのよな効果があるのかを見ていこう。

ドーパミンが多量に出ているときはお腹が空かない

ドーパミンには「快感や多幸感を得る」、「意欲を作ったり感じたりする」といった効果があるホルモンだ。
またドーパミンが多量で出ている時はお腹が減らないという作用もあるらしい。例えば貴兄にも「趣味やスポーツに夢中になっていたら、食事をわすれてた!」という経験はないだろうか?
自分も仕事が終わってから食事を取らずにスポーツクラブに行って筋トレをする事が頻繁にあるが空腹感を感じた事がないのはこのドーパミンのおかげに違いない。
つまりドーパミンが多く分泌されるような事を行えば、食欲が抑制されて、ダイエットにも効果的なのだ。

エンドルフィンは鎮痛作用がある

エンドルフィンは別名「脳内モルヒネ」とも言われていて、鎮痛作用はモルヒネの6.5倍もあるホルモンだ。
そのため格闘技などで試合中に骨折しても戦い続けられたり、マラソンの時のランナーズハイはエンドルフィンによる鎮痛効果によるものだ。
また快楽を感じさせる効果もあり、苦しみが快感に変わっていくのは脳内でエンドルフィンが増えるためと言われている。
この物質により痛みや苦しみはなくなり、脳は活性化され、精神的ストレスの解消にも効果あると言われている。
格闘技やマラソンは極限状態であるが、逆にリラックス状態でも分泌されるという報告がある。それは脳波がα波の状態になっていると増加するそうだ。
またエンドルフィンには集中力、注意力を増大させる働きもある。

ノルアドレナリンは集中力アップにつながる

ノルアドレナリンは緊張したり、不快感を感じた時に放出されるホルモンだ。これが多い状態になると緊張状態になるため、注意力、集中力がアップする。またエンドルフィンほどの効果ではないものの痛みを感じにくくさせる効果がある。
フィットネスバイク
このように筋トレや運動をすることで脳内で作れらる麻薬様のホルモンが出てくる。
麻薬というと危なく聞こえるがいわゆるクスリのように外から体内に入れた物は脳内で作られる物よりも量も多いので効果は強烈で持続時間も長いが外から入ってくるともう体で作られなくなってしまうのでクスリなしではもうその効果が得られなくなってしまうのでそのクスリの依存症になってしまうのだ。
しかし何か人間が行動することによって出てくこれらのホルモンの場合は一過性でクスリに比べればそれほど強烈ではなく持続時間も長くないし自分の体に作り出しているので高齢者や病気で
ない限り出てこなくなることはない。

★筋トレでストレス発散

筋トレをするとストレスが溜まるのではないかと思われている貴兄もいるかもしれないが前述したように筋トレをすると様々なホルモンも分泌されるのでストレスが発散されるはずだ。
ではどのような効果があるか考えてみよう!
まず筋トレトをすると忍耐力が格段にく。なぜなら筋肉を成長させるには重い物を無理して限界まで何回も上げ下げしなければいけないし、それを何カ月、何年も続けていく精神力が必要だからだ。
しかしこのように表現してしまうと筋トレしている人はすごくストイックなイメージができてしまうがそれほどの事でもないと思う。それは前述したように様々な幸福感を感じさせたり、痛みを和らげるホルモンが分泌されるからだ。
気持ちがいいからやり続けられるのだと思う。
また筋肉を大きくさせるには何カ月も同じ重量を同じ回数扱っていてもその時点での筋肉量は維持できてもそれ以上は筋肉が大きくなる事はない。
例えば今まで47kgの重量の物を10回挙げられるようになったとする。それを何カ月もやり続けて47kgを20回挙げれるようになったとする。しかし筋肉は47kgを10回挙げられた時と比べて筋肉の持久力は付いても筋肉はさほど大きくならない。
これを漸進性過負荷の原則という。同じ刺激を与えているだけでは筋肉をそれ以上大きくしなくても対応できると脳や体が判断してしまうために筋肉を大きく成長させるにはある重量の重さがクリアできたら次回は今までの重さより重くしていかなければならない。
このように肉体的にも精神的にも過酷なストレスにさらされるのであるがこのようになトレーニングによってストレスに対する耐性がついてくる。

筋トレなどの運動はセロトニンを活性化させる

また筋トレを含む運動やスポーツ全般にはセロトニンを活性化させる効果があらしい。
セロトニンとは副交感神経を高める物質で一般的には「抗うつ」としてしられている。セロトニンが不足すると精神のバランスが崩れて、暴力的になったり、うつ病を発症すると言われているのだ。
セロトニンは、脳内で分泌されるホルモンの一種で交感神経系と連動して、体内時計の調節し、覚醒状態を保ちながら、ドーパミンやノルアドレナリンの作用を制御して、気分や感情のコントロール、衝動行動を抑制する。
また筋トレをする事でガリガリに人は逞しい体に、太った人は締まった体に変化していく事で自分に自信が持てるようになる。この自信というのももしかしたらホルモンの作用によるものかもしれないが…

★ぼけ防止

まだエビデンスがあるわけではないが筋トレをする事で認知症の予防や改善の可能性がるあるらしい。すでにいくつかの病院でも高齢者の軽い筋トレを取り入れられている所もあるそうだ。
なぜ筋トレが認知症の予防・改善に役立つ可能性があるかと言うと筋トレをすには正しいフォームで筋肉を動かさなければならないので、この事に意識を集中しなくてはならない。そのために脳へ送られる電気信号の量が増えるそうだ。これによって感覚神経の伝達能力が高まり、認知症の改善がされていくらしい。

★サルコペニア予防

貴兄はサルコペニアという言葉はご存じだろうか?たぶんアラフィフの貴兄にはまだ関係ないから知っている方は少ないだろう。自分は医療に携わっているからたまたまこの年でも知っていただけに違いない。サルコペニアとは加齢と共に筋肉量が低下し、筋力や身体機能の低下が起こる症候群だ。
筋肉量は、40歳ごろから徐々に低下していくがそんな時に適切な栄養摂取や運動をせずにいると、年齢を重ねるごとにその速度は加速していく。
すると以下のような症状が現れてくる。
・活動量の減少から肥満になる(膝への負担増)
・筋力不足による転倒のリスク上昇
・舌や咀嚼嚥下に関する筋肉や呼吸に関する筋肉に影響が及ぶと嚥下障害になる
しかも肥満で膝への負担が増えたり、転倒してケガをしたりすると、よけいに活動量が減り、筋肉量がさらに低下していく。また、嚥下機能が低下すると、筋肉を作るのに十分な栄養が取れなくなる。
つまり、サルコペニアになると筋肉量が低下する悪循環が生まれて最後には寝たきりになってしまうリスクが高くなるのだ。

筋肉を増やすためには筋トレをするしかない!

では「運動をしよう!」となるのだが、手軽に始めるとなる自宅の周りを歩いたり、ジョキングしたりとなるがこのような有酸素運動では残念ながら筋肉量は増えないのだ。
筋肉を増やす運動は筋力トレでしか増えない。そして筋力トレするときに重要なのは、 「回数」「強度(負荷)」、「頻度」の3つだ。
また、筋肉を増やすには、 やればやるほど増えると思われている貴兄もおられるかもしれないが休養も重要なのだ。
筋トレをすると筋線維に細かな損傷や炎症が起こる。そしてその後休養させると筋線維が以前の状態よりも強く太く回復するこの現象を日本では「超回復」と呼び、 超回復には、筋肉の部位よって異なるが48~72時間(2日~3日)程度が必要と考えられている。この超回復という言葉は厳密にまた学術的には筋グリコーゲンの超回復の事をさして筋肉のエネルギー源であるグリコーゲンの貯蔵する能力が筋トレする前に比べて筋トレ後上記の休養期間をへると増えている事をさす。
よってこの休養期間を経ると筋肉線維自体が太くなるという学術的エビデンスはないのだが世界的には今までの筋トレをしてきた人たちやボディビルダーの経験則によっておおよそのコンセンサスが得られていると思われる。
そのためこの休養期間は私的には年齢や個体差がかなりある物と認識している。遺伝的に恵まれている人は毎日同じ部位を鍛えても筋肉を大きくする事が出来る可能性があり、実際にそのような人もいるが自分や貴兄はスタンダードな休養期間をとった方がいいだろう。
なぜなら同じ部位を毎日筋トレすると普通の人は筋肉の修復が間に合わず結果としてどんどん細くなっていって筋力も低下してしまうのだ。
そのため、筋トレの実施回数は同じ部位に対して「2~3回/週」が、最も筋肉量を増やすのに効果的な頻度となるのだ。
年齢に重ねていった時に寝たきりにならないように、あるいはその時期を少しでも遅らせるように今からダイエットを兼ねて筋トレをしよう!

簡単な筋力トレーニングで基礎代謝が増加した?

またサルコペニア予防だけでなくクインシー大学で行われた調査によると、 10週間の簡単な筋力トレーニングにより、高齢者の基礎代謝がおよそ7%増加したと発表している。
その他、筋力トレはインスリン感受性を改善することにより、2型糖尿病の予防と改善にもつながる。
また、血流が良くり、成長ホルモンを大量に分泌することから、 易疲労感の改善だけでなく、脳疲労回復、認知機能の向上、冷え性改善など、身体の様々な機能を改善する可能性があるのだ。

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