去る10月11日(日),宮崎観光ホテル(宮崎市)において標記学会学術大会が開催された.大会長は前田勝正氏(九州大学大学院教授),メインテーマは「未来を展望する歯周病治療」であり,約1,500名が参加した.

本大会の特徴としては,臨床の省察と趨勢を考える臨床セミナー,特別講演の開催,A.a.の外膜タンパク,P.g.の線毛タンパクから炎症発症の機序を考察するシンポジウム,あるいは歯周医学について,「ジンジパインのもつ起炎作用」「末梢炎症と脳機能の関係」「老化」といった観点から考察を加える演目設定や,とりわけ関係学会との協調をうたっている糖尿病との関係を再考する特別講演の開催などがあげられる.また,口腔インプラント委員会ならびに倫理委員会企画講演を開催し,それぞれ申基喆氏(明海大学教授),内田栄二氏(昭和大学教授)が登壇,学会として提言がなされた.総覧して臨床,基礎を網羅し,かつ全身とのかかわりのなかで歯周病と向き合うテーマが揃えられており,1日での開催とはいえ大変重厚な内容となっていた.おもだった演題の概要は次のとおり.

臨床セミナー「基本から学ぶ歯周形成外科」(水上哲也氏;福岡県開業)では,形成外科のおもなポイントとして「切開」「縫合」「欠損部歯槽堤の状況」「根面被覆」などを掲げ,それぞれに対して留意点が解説された.それらの要点をわかりやすく列挙して当該外科についてreviewとするという内容は好評を博し聴衆も多く,会場は盛観を呈していた.「切開」では歯肉豊隆を考慮する,歯頸ラインにできるだけ垂直に切開するなど,「縫合」については「結び目を切開上に設定しない」「強固な結び目をつくること.ただし,締めすぎない」をあげるなど,形態に即した施術に留意することが解説された.また,歯周形成外科はオプションの一つであり,適切な軟組織の厚みの確保と硬組織の状態,バイオタイプを考慮し,歯周治療全体の治療計画の中で選択するものとまとめられた.

特別講演「最近の歯周治療の傾向」(船越栄次氏;福岡県開業)では,歯周治療のヒストリカルレビューと最近の治療法を紹介.おもに再生治療,PRPの骨増生の有用性,EMDの有用性などが解説された.さらには,今後のオーターメイド医療の可能性に言及.症例報告のみならず,アメロジェニンがなぜ他家から移植されてもアレルギー反応が起きないのか(アメロジェニンは哺乳類間で遺伝情報の90%以上が一致するとのこと)などについても紹介した広範な内容は,聴衆を魅了した.

口腔インプラント委員会企画講演「歯周病患者のインプラント治療の指針」(申基喆氏;明海大学教授)では,歯周病患者にインプラントがどこまで適応できるかを概説.欠損を有する歯周病において,その欠損部に埋入されたインプラントは天然歯に比べてメカニカルストレスに弱い可能性があり,そのようなリスクを十分に認識して施術することが必要になるという.埋入までにしっかりとした歯周治療を行って条件を整える前にインプラントを植立しないことが再確認された.

歯科衛生士教育講演では,沼部幸博氏(日本歯科大学教授),高橋裕子氏(奈良女子大学教授),稲垣幸司氏(愛知学院大学教授)が登壇.喫煙の歯周病に対する影響と禁煙指導の実際について講演した.また,本講演と並んで行われたベストハイジニスト授賞式では,大谷久美氏がベストハイジニスト賞を受賞した.

認定医・専門医最優秀賞ポスター賞は,木村英隆氏(福岡県開業)の「広汎性侵襲性歯周炎患者に対し歯周組織再生療法を行い長期経過した症例報告」.外科的手法とともにEMDを併用した約10年に渡る症例経過が報告された.

次回第53回春季大会は,平成22年5月13日~15日の会期において盛岡市で開催される予定.大会長は,國松和司氏(岩手医科大学教授).

(Blogs歯科界ニュース学会・研究会レポートより)

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