歯を失う原因の第1位。40代以上の人の8割以上が罹っているなじみの病気だ。が、気づかず放置すると怖い。入れ歯になるだけでなく、糖尿病、脳梗塞、心疾患などの病気のリスクを高める“万病のもと”。長生きしたけりゃ要チェックだ。

【最悪だと2-3年で歯がポロリ】

最大の特徴は「静かなる病気」と呼ばれるように、痛みが現れることなく進行するところ。

最初は歯ぐきが炎症を起こす「歯肉炎」(チェックリスト前半5項目)から始まり、さらに悪化すると歯を支える骨が溶けだす「歯周炎」(同後半5項目)に移行する。

通常、大方の歯周炎は10-20年かけてジワジワ悪化して歯が抜ける「慢性」だが、悠長に構えてはいられない。東京医科歯科大学歯学部附属病院・歯周病外来の和泉雄一教授はこう話す。
「まれに急速に悪化して2-3年で抜けてしまう“侵襲性”の人がいる。歯周病菌の違いや遺伝的背景が指摘されているが、まだはっきりしたことは分かっていない」

いずれにしても、歯肉炎のうちに進行を食い止めることが重要だ。

【毒素が全身に影響】

口腔内には5-600種類の細菌が住みつき、そのうち歯周病の原因になるのは10種以上。

これらの歯周病菌が歯磨きを怠ることで増殖する「細菌因子」、体が過剰に反応する「生体因子」、喫煙やストレスなどの「環境因子」が重なるほど、発症しやすく重症化しやすくなる。

さらに歯周病菌の出す毒素が全身に影響を及ぼすことも知られている。

「毒素が血管に侵入すると炎症を起こして血栓ができやすくなるため、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが2-3倍高まるといわれる。また、毒素はインスリンの働きを弱めるので糖尿病を悪化させやすい。逆に糖尿病が重症だと歯周病が悪化しやすく悪循環を起こす」

他にも妊婦は早産、高齢者は嚥下性肺炎のリスクが高まるという。
【就寝中に菌が増殖】

とにかく進行を阻止するためには歯周病菌を増やさない口腔内の掃除が一番。たとえ食後の歯磨きはチャッチャと簡単に済ませても、せめて寝る前は10-15分かけて入念に磨くことが重要。歯周病菌が増殖するのに好都合なのが、水分、食べカス、温度の3拍子そろった就寝中だからだ。

加えて最低年1回は歯科健診を受けて、歯石の除去をしてもらおう。

「実際、いま歯周病に罹っている8割の人は、口腔内のケアをきちんと続ければ外科的治療まで至らず自然と治る人ばかり。歯周病は生活習慣病という認識を忘れずに」と和泉教授。

意外と見落としてる歯の管理、見直しが肝心だ。
【「歯周病」チェックリスト】

□歯ぐきがムズかゆい

□歯ぐきが腫れぼったい

□歯を磨くと歯ぐきから出血する

□歯ぐきを押すと血や膿が出る

□口臭が強いと指摘された

□歯の間に食べ物がはさまる

□冷たいものがしみる

□歯を押すとグラグラする

□歯ぐきが下がってきている

□歯並びが変わった感じがする
2つ該当すれば可能性がある、4つ以上なら間違いないでしょう。
※東京医科歯科大歯学部附属病院・歯周病外来・/和泉雄一教授作成

2009年11月30日 (夕刊フジ)