筋力・筋量・筋持久力の解剖学的観点からの違いとは?
筋肉には大きくわけて骨格筋と内臓筋がある。骨格筋とはその名の通り骨格を動かす筋肉の事を指す。骨格筋は組織学的には横紋筋といいこれは筋繊維を構成するアクチンとミオシンが規則正しく並んでいることで横紋が見られるためにこのように呼ばれている。一方内臓筋もその名の通り内臓を動かす筋肉のことを指す。心筋や舌、咽頭、横隔膜以外の内臓筋は平滑筋といいアクチンとミオシンはわずかしか存在せず筋節のない筋肉のためこのように呼ばれている。
そしてここでは
骨格筋の筋繊維の種類について語っていく。
骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類がある。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれる。
速筋はその名の通り収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができるが、長時間収縮をすることはできない。速筋は2種類に分かれていてTYPE2aとTYPE2bがある。
一方遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれる。遅筋もその名の通り収縮スピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできないが、長時間にわたって一定の張力を維持することができる。
これら3種類の筋繊維には以下のような特徴がある。
速筋(筋繊維TYPE2a)
やや持久的な60秒ほどの運動・筋収縮の主体となり収縮速度が比較的速く(Fast)酸素(Oxygen)をエネルギー源とすることからFO筋とも呼ばれる。
速筋(筋繊維TYPE2b)
10秒以内程度の瞬発的な運動・筋収縮の主体となり収縮速度が速く(Fast)グリコーゲン(Glycogen)をエネルギー源としているためFG筋とも呼ばれる。
遅筋(筋繊維TYPE1)
数分以上の継続的な運動・筋収縮の主体となり収縮速度が遅く(Slow)酸素(Oxygen)をエネルギー源とすることからSO筋とも呼ばれる。
また速筋と遅筋はそれぞれを鍛えた場合の変化が異なる。
速筋は使うと筋繊維が太くなり使わないと細くなる。遅筋は使うと筋繊維の周りの毛細血管が増えていき使わないと毛細血管が減っていくという現象がおきる。
つまりこれらの事から筋量を増やすには速筋繊維を鍛えたほうが良いということが判る。そして最大限筋量を獲得するのであれば筋繊維TYPE2aと筋繊維TYPE2bの両方鍛えたほうがいいということが言える。
また重い重量を挙げるにはより強い収縮が必要になるわけであるから筋繊維TYPE2bに重きをおいたほうがいいかもしれない。
お正月の番組の「TEPPEN」のような回数を競うような試合では筋繊維TYPE1を鍛えるような練習をしたほうが良いかもしれないがこの記事の趣旨とは異なるので割愛させていただくことにする。
話を元に戻すとベンチプレス100kg挙げるには筋繊維TYPE2aと筋繊維TYPE2b両方を鍛えて尚且つどちらかといえば筋繊維TYPE2bよりにしたほうがいいとなると筋繊維の特徴から考えると以下のようになるのではないかと思う。
筋繊維TYPE2aが60秒ほどの収縮時間、筋繊維TYPE2bが10秒以内の収縮時間と考えるとベンチプレス時のバーベルの1回の上げ下げに約1秒かかるとするとやはり経験則的に言われてきた8~12回くらいが筋肥大効果があり8回に近づくにつれて筋肥大効果よりも筋力の効果のほうが強くなるという意見にも合致していると思う。
そこで次には筋力向上と筋量向上に必要なトレーニングの実際を述べてみたいとろだが、その前にトレーニングする場所はどのようなところが最適なのかを考えてみたい。